結論:仕入れ先選びは「品質→価格→配送の仕組み」の3段階で決める
食材の仕入れ先を選ぶとき、多くの人はまず価格を比べます。ただ、複数店舗を運営していると、後から効いてくるのは**「発注と受け取りに、毎週どれだけの手間と時間がかかるか」**です。
筆者は、ハンバーガー専門店「WORLD BURGER」を複数店舗で運営しています。仕入れ先を選ぶときは、次の順番で判断しています。
- 品質:実際に取り寄せ、最終的に提供するメニューの形まで仕上げて味を確かめる
- 価格:品質が横並びの候補の中で比べる
- 配送の仕組み:配送してくれるか、定期配送に対応しているか
この記事では、3つ目の「配送の仕組み」、特に定期配送で発注の手間をどこまで減らせるかを中心に整理します。
買い出しの「見えないコスト」
スーパーや業務用スーパーでの買い出しは、一見すると手軽で安く済むように見えます。しかし、買い出しには次の負担がかかります。
- 店を出て買いに行き、戻ってくるまでの時間
- 誰かがその時間を担当することによる人件費
- 買い出しに行ける人が限られることによる属人化
筆者の店では、基本的にすべての食材を配送で受け取る形にしています。買い出しは時間的にも労力的にもコストがかかるためです。
定期配送が効く理由:「発注する」から「調整する」へ
筆者が仕入れ先に求める条件の一つが、定期配送に対応していることです。
仕組みはシンプルです。
- 曜日ごとに「この曜日は最低このくらいの個数」を決めておく
- 決めた内容に沿って、ある程度自動的に発注が動き出す
- 「今日は在庫が多いので不要」「明日の分は不要」というときだけ調整する
こうすると、発注は**「毎回ゼロから注文する作業」から「多い・少ないを調整する作業」**に変わります。発注の回数そのものが減るので、発注にかかる労働コストが大きく下がります。
発注方式の違いを整理する
発注の考え方には、他にも「発注点方式」(在庫が基準を下回ったら、決めた数量を発注する)があります。業界メディアでも、発注量が一定になり手間が少ない、感覚ではなく数字でタイミングを判断できる、といった利点が紹介されています。
| 方式 | 発注の動き | 向いている食材 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定期配送(曜日・最低個数を固定) | 自動で動き、多い日だけ調整 | 毎週ほぼ一定量を使う主要食材 | 使用量が大きく変わる時期は、調整を忘れると余りが出る |
| 発注点方式 | 在庫が基準を下回ったら発注 | 在庫管理が必要な保存のきく食材 | 在庫を数える作業が必要 |
| 都度発注 | 必要な分をそのつど注文 | 使用量が読めない食材、試験導入 | 発注の手間が最も大きい |
どれが正解というわけではなく、使用量が安定している主要食材は定期配送、変動が大きいものは都度発注というように、食材ごとに使い分けるのが現実的です。
品質は「最終形態」まで落として確認する
配送や価格が良くても、品質で妥協すると店の味が変わります。筆者は、仕入れ先の候補が見つかったら、実際に取り寄せて、お客様に提供する最終的なメニューの形まで仕上げて食べるところまで確認します。
とくに肉やバンズは、業者によって品質の差が大きく出ます。そのため、最終的にはまず品質が最も良いところを選ぶことになります。次に価格、そのうえで定期配送のような配送の仕組みが合うかを見る、という順です。
筆者の観察:肉は「届く状態」で品質が変わる
筆者の経験では、冷凍の状態で届く肉は、品質が落ちると感じています。一方、冷蔵(チルド)の状態で届いたものを店で整形し、自店で冷凍する工程を踏んでも、品質はあまり落ちません。
なぜそうなるのかは、筆者自身も明確には分かっていません。プロにしか分からない微妙な違いではなく、食べ比べると一目瞭然の差で、一般のお客様でも分かる程度の違いだと感じています。これはあくまで筆者の店での体感であり、すべての食材・業者に当てはまる一般則ではありません。気になる方は、自店でも食べ比べて確かめてください。
仕入れ先を見直すときのチェックリスト
- 実際に取り寄せ、提供する最終形まで仕上げて味を確認したか
- 価格は、品質が同等の候補同士で比べているか
- 配送に対応しているか(買い出しの時間・人件費を減らせるか)
- 定期配送に対応しているか(曜日・最低個数を決められるか)
- 「今日は不要」「明日は不要」といった調整がきくか
- 肉などの生鮮は、**届く状態(チルドか冷凍か)**を確認したか
- 納品の締め時間、配送費、最低注文金額を確認したか
よくある質問(FAQ)
Q. 定期配送にすると、余った食材が出ませんか?
A. 最低個数を「確実に使い切れる量」に設定し、足りない分は都度発注で補うと、余りを抑えやすくなります。多い日は調整できる業者を選ぶことも大切です。
Q. 買い出しと配送、どちらが安いですか?
A. 商品単価だけを見ると買い出しが安い場合もあります。ただし、買い出しの時間と人件費を含めると、配送のほうが総コストで有利になることがあります。自店の移動時間と時給で一度試算してみてください。
Q. 配送費がかかる場合はどう判断すればよいですか?
A. 配送費と、買い出しにかかる時間・人件費を並べて比較します。最低注文金額や送料無料の条件は、業者ごとに異なるため、見積り時に確認してください。
Q. 品質と価格が競合する場合は?
A. 筆者は、まず品質が最も良いところを選び、次に価格を見ます。特に肉やバンズのように品質差が味に直結する食材は、価格より品質を優先するほうが後悔が少ないと考えています。
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筆者プロフィール
ハンバーガー専門店「WORLD BURGER」経営者。経営歴9年、池袋西口本店・東口店、新潟駅前店、浜松駅前店の4店舗を運営。食べログ全国100名店(2024年・2026年連続受賞)、JAPAN BURGER BEST 50(2026年選出)。デリバリー・モバイルオーダー・決済・厨房設備管理など、複数店舗運営で得た実務知見をもとに本メディアで発信している。
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