厨房の排気ダクト、最後に内部まで清掃したのはいつか、即答できるでしょうか。グリスフィルターは定期的に洗っていても、フードの奥・防火ダンパー・立ち上がりダクトの内部まではなかなか手が回らない、という店舗は少なくないはずです。
結論から言うと、この清掃は「余裕があればやる」任意の作業ではなく、火災予防条例によって清掃・維持管理の基準が定められている項目です。具体的には、天蓋(フード)・グリスフィルター・防火ダンパーはおおむね2週間に1回以上、排気ダクトは3か月に1回以上の清掃が目安として示されています(自治体・所轄消防署により運用の詳細は異なります)。しかし実務としては、この頻度をそのまま守っている小規模店は多くありません。専門業者に本格清掃を依頼する場合の費用は、ダイフィルの例で厨房排気設備清掃(フード清掃+フィルター枠清掃+防火ダンパー清掃+立ち上がりダクト清掃)が約150,000円〜(税抜)、排気ファン清掃が約100,000円〜(税抜)です。
私自身、複数店舗を運営する中で「グリスフィルターは交換しているから大丈夫」と思っていた時期がありましたが、それだけでは条例が求める範囲をカバーできていないことを、後になって知りました。今回は、この一次情報と、条例の根拠、実際の費用感、依頼した場合の流れをまとめます。
著者プロフィール
グルメバーガー専門店「WORLD BURGER」を池袋2店舗・新潟・浜松の合計4店舗(直営・FC含む、2021年開業・6年目)で運営。食べログ全国100名店(2024年・2026年連続受賞)、2026年ジャパンベストバーガー50選出(ジャパンバーガーチャンピオンシップ予選会)など第三者評価も受けている。フライヤーを多用するハンバーガー業態のオーナーとして、厨房の油脂管理・火災予防には特に注意を払っている。本記事も、実際の店舗運営で得た一次情報にもとづいて執筆している。
排気ダクトの掃除、最後にしたのはいつですか?
Point:排気ダクト・グリスフィルター・防火ダンパーの油脂汚れが原因の火災は、実際に発生し続けている火災類型のひとつです。だからこそ、火災予防条例はこれらの清掃・維持管理を「努力目標」ではなく明確な基準として定めています。
Reason:ハンバーガー店はフライヤーを多用する業態なので、私自身、油煙の量には人一倍気を配ってきたつもりでした。ただ、正直に言うと「グリスフィルターさえ定期的に洗っていれば大丈夫」という認識でいた時期があります。実際には、フィルターで除去しきれなかった油脂分は防火ダンパーや排気ダクトの内部にも少しずつ堆積していきます。ここが清掃されないまま放置されると、堆積した油脂に着火した際に排気ダクトが延焼のルートになり、フード周りの火災が建物全体に広がる危険につながります。
Example:飲食店向けの消防設備点検では、グリスフィルターの交換記録は残っていても、排気ダクトや排気ファン内部の清掃履歴までは記録が残っていない、というケースが少なくないと言われています。日々の営業の中では、目に見えて汚れるグリスフィルターの交換にどうしても意識が向きがちですが、条例が求めているのはそれだけではありません。
Point:「グリスフィルターは洗っているから、うちの店は大丈夫」という認識だけでは、条例が求める維持管理の範囲をカバーできていない可能性があります。次の章で、条例が具体的に何を求めているかを整理します。
消防法・火災予防条例は、具体的に何を求めているのか?
火災予防条例は各自治体が定めるものですが、いずれも総務省消防庁が示す「火災予防条例(例)」の第3条の2(厨房設備)をベースにしており、内容はおおむね共通しています。札幌市消防局が公開している同条例の解説では、天蓋・グリス除去装置・防火ダンパー等の維持管理について、次の清掃・点検頻度の目安が明記されています。
| 対象設備 | 清掃・点検の目安 |
|---|---|
| 天蓋(フード)・グリスフィルター・防火ダンパー | おおむね2週間に1回以上の清掃 |
| グリスエクストラクター | おおむね1か月に1回以上の清掃 |
| 排気ダクト | 3か月に1回以上の清掃 |
| フード等用簡易自動消火装置 | 6か月に1回以上の点検 |
(出典:札幌市消防局「火災予防条例 第3条の2(厨房設備)」解説)
条文そのものは「天蓋及びこれと接続する排気ダクト内の油脂等の清掃を行い、火災予防上支障のないように維持管理すること」というシンプルな書き方ですが、この解説部分で具体的な頻度の目安が示されています。東京都を含め、多くの自治体が同じ枠組みの条例を運用していると考えられますが、自治体・所轄消防署によって条文番号や運用の細部(頻度の表現、立入検査での指摘基準など)が異なる場合があるため、正確な内容は自店の所轄消防署に確認することをおすすめします。
なお、総務省消防庁は2026年7月、調理器具の排気ダクト・グリス除去装置の油脂管理に関する規定を「火災予防条例(例)」に新設したと発表しており、2027年4月1日の施行が予定されています。これはモデル条例(国から自治体への提示)であり、この時点で全国一律に同じ義務・周期が生じるわけではありませんが、今後、各自治体の条例改正を通じて、油脂管理の基準がより明確化・厳格化していく可能性があります。
参考:消防庁が火災予防条例(例)を改正|飲食店・社員食堂の排気ダクト管理を確認する3点(企業防災ノート)
実際にはどのくらいの頻度・費用がかかるのか?
Point:条例上の目安(排気ダクトは3か月に1回以上)をそのまま実行するのは、正直なところ多くの小規模店にとって現実的ではありません。実務では「専門業者による本格清掃を年1回、フライヤーを多用するなど油を多く使う業態は3〜6か月に1回」というペースで運用している店舗が多い印象です。
Reason:日常的な油汚れの拭き取り・グリスフィルターの交換は現場で対応できても、フード内部・防火ダンパー・立ち上がりダクトまでの分解清掃は専門的な機材と技術が必要で、スタッフだけで対応するのは危険でもあります。
Example:ダイフィル(INSUKE運営元)に依頼した場合の費用は、次の水準です(いずれも税抜、フードの大きさ・設置状況・排気ファンの種類や番手・高所作業の有無により変動します)。
| メニュー | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 厨房排気設備清掃 | フード清掃+フィルター枠清掃+防火ダンパー清掃+立ち上がりダクト清掃 | 約150,000円〜(税抜) |
| 排気ファン清掃 | 排気ファン本体の清掃 | 約100,000円〜(税抜) |
年1回のペースで依頼すると仮定すると、厨房排気設備清掃は月あたり約12,500円、排気ファン清掃は月あたり約8,300円相当のコストという計算になります。※これは分割払いではなく一括請求です。月額はあくまで比較のための参考値です。日々のグリスフィルター交換(月額数千円)と合わせて、年間を通じた油脂管理コストとして捉えると考えやすいかもしれません。
これは、以前の記事で紹介したグリスフィルターレンタル(当グループの実例で月額4,000円、ダクト1台・フィルター2枚交換分)とは対象範囲が異なります。グリスフィルターレンタルは「日常的なフィルターの交換」を外部委託するサービスであるのに対し、今回の厨房排気設備清掃・排気ファン清掃は、フィルターだけでは除去しきれない防火ダンパーやダクト内部・排気ファンまで含めた「年1回程度のスポット的な本格清掃」という位置づけです。両者は競合するものではなく、併用することで初めて条例が求める範囲に近づける、という理解が実態に近いと考えています。グリスフィルターレンタルの実体験・競合比較については、以下の記事に詳しくまとめています。
あわせて読みたい:厨房ダクトのグリスフィルター、自分たちで洗ってませんか? 複数店舗オーナーが「ダイフィル」に切り替えて感じたこと
Point:費用だけを見ると「安くはない」というのが正直な感覚です。ただし、これを怠った場合のリスクは費用の比較では測れません。排気ダクト火災は営業停止・建物への損害・従業員やお客様の安全に直結するリスクであり、消防署の立入検査で維持管理の不備を指摘され続ければ、指導や改善命令の対象になる可能性もあります。「年1回、決まった時期に専門業者へ依頼する」というルールを作ってしまうほうが、結果的にコストも心理的な負担も小さく済む、というのが複数店舗を運営してきた実感です。
ダイフィルに依頼すると、どんな流れになるのか?
Point:厨房排気設備清掃・排気ファン清掃は、フードの大きさや排気ファンの設置状況によって費用が変わるため、まずは現地調査・見積りを受けることが前提になります。
Reason・Example:一般的な流れは以下の通りです。
- 問い合わせフォームから、店舗の状況(厨房設備の種類・設置状況・店舗規模など)を伝える
- ヒアリング・現地調査(フードの大きさ、排気ファンの番手・高所作業の有無などを確認)
- 見積り提示(厨房排気設備清掃・排気ファン清掃、それぞれの範囲と金額)
- 申し込み・清掃日程の調整
- 清掃実施
複数店舗を運営している場合は、店舗ごとに個別依頼するより、まとめて相談したほうが日程調整や費用感の把握がしやすいと感じています。まずは自店のフード・ダクトの状況を確認したうえで、見積りを取ってみることをおすすめします。
詳しくはこちら・お問い合わせはこちら:ダイフィル厨房排気設備清掃・排気ファン清掃の見積もりフォーム
まとめ
- 排気ダクト・グリスフィルター・防火ダンパーの清掃は、火災予防条例によって清掃・維持管理の基準が定められている項目であり、「余裕があればやる」任意の作業ではありません。
- 目安として、天蓋・グリスフィルター・防火ダンパーはおおむね2週間に1回以上、排気ダクトは3か月に1回以上の清掃が条例解説で示されていますが、正確な運用は所轄消防署にご確認ください。
- 実務的には、日常の清掃に加えて、専門業者による本格清掃を年1回(油を多く使う業態は3〜6か月に1回)依頼するのが現実的な水準です。ダイフィルの場合、厨房排気設備清掃は約150,000円〜(税抜)、排気ファン清掃は約100,000円〜(税抜)です。
- グリスフィルターレンタル(日常のフィルター交換)と、厨房排気設備清掃・排気ファン清掃(年1回程度の本格清掃)は対象範囲が異なり、両方を組み合わせて初めて条例が求める維持管理に近づけると考えられます。
「うちは大丈夫」と思っていた清掃記録の抜け漏れに、消防署の立入検査で初めて気づく、という経験は決して珍しいものではないはずです。まずは自店のフード・ダクト・排気ファンの清掃記録がいつのものか、確認してみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 排気ダクトの清掃を怠ると、具体的にどんな法令違反になりますか?
A1. 各自治体の火災予防条例(多くは総務省消防庁の「火災予防条例(例)」第3条の2をベースにしています)で、天蓋・グリス除去装置・排気ダクトの清掃と維持管理が義務として定められています。清掃記録がない、油脂が堆積したまま放置されているといった状態は、所轄消防署の立入検査で指摘・改善指導の対象になる可能性があります。ただし条例の番号・文言・運用の細部は自治体によって異なるため、正確な内容は自店の所轄消防署にご確認ください。
Q2. グリスフィルターの交換(別記事で紹介)と、今回の厨房排気設備清掃・排気ファン清掃は何が違いますか?
A2. グリスフィルターレンタルは、日常的に汚れるフィルター自体を定期的に交換するサービスです(当グループの実例では月額4,000円)。一方、厨房排気設備清掃はフード清掃・フィルター枠清掃・防火ダンパー清掃・立ち上がりダクト清掃まで含めた本格的な清掃で、頻度も年1回程度が目安です。排気ファン清掃はさらに別メニューで、排気ファン本体を対象にします。両者は競合するものではなく、併用することで条例が求める範囲に近づけるという位置づけです。
Q3. どのくらいの頻度で清掃すればいいですか?
A3. 条例解説(札幌市消防局の例)では、天蓋・グリスフィルター・防火ダンパーはおおむね2週間に1回以上、排気ダクトは3か月に1回以上の清掃が目安として示されています。ただし、これをそのまま実行するのは多くの小規模店にとって簡単ではありません。実務的な目安としては、日常の簡易清掃に加えて、専門業者による本格清掃を年1回、フライヤーを多用するなど油を多く使う業態であれば3〜6か月に1回のペースで依頼する、という運用が現実的だと考えています。
Q4. 費用はどれくらいかかりますか?
A4. ダイフィルの場合、厨房排気設備清掃(フード清掃+フィルター枠清掃+防火ダンパー清掃+立ち上がりダクト清掃)は約150,000円〜(税抜)、排気ファン清掃は約100,000円〜(税抜)です。いずれもフードの大きさ・設置状況、排気ファンの種類や番手、高所作業の有無により金額が変動します。正確な金額は現地調査・見積りが必要です。複数店舗を運営している場合は、まとめて相談したほうが日程調整・費用感の把握がしやすいと感じています。
本記事で紹介している株式会社ダイフィル(INSUKE運営元)の厨房排気設備清掃・排気ファン清掃サービスについて、当メディアは二次代理店として提携関係にあり、登録・成約に伴い紹介料を受け取る場合があります。
コメント