厨房排気ダクトのフィルター、気づけば油でギトギトになっていませんか。閉店後にスタッフが重い油汚れと格闘している光景は、飲食店なら一度は見たことがあるはずです。
私は複数店舗のフランチャイズ店舗を運営していますが、ある店舗で「グリスフィルターレンタル」というサービスに切り替えてから、この作業自体をスタッフの仕事から外すことができました。今回は、その実体験と、あわせて検討した業務用エアコン清掃の話、そして記事にするにあたってリサーチ部に依頼した競合7社の比較調査の結果をまとめます。
結論を先に言うと、「絶対にお得」と断言できるほどの劇的な差ではありません。ただし、金額面では大きく損をせず、かつスタッフの負担を減らせるという点で、うちの店舗では導入して良かったと感じています。数字の根拠と、判断材料になる比較表を以下に置いておくので、自店に合うかどうかの参考にしてください。
導入前の課題:油の頑固な汚れとスタッフの負担
厨房排気ダクトのフィルターは、営業していれば必ず油汚れが付着します。この油汚れはかなり強くフィルターに癒着するため、以前はうちの店舗でもスタッフが自分たちで洗浄していましたが、正直かなり大変な作業でした。皿洗いや調理器具の手入れとは違い、頑固にこびりついた油を落とす作業は時間もかかりますし、精神的にも「またこの作業か」という負担になります。
実体験:グリスフィルターレンタルに切り替えた結果
現在利用しているのは「株式会社ダイフィル」(大阪府東大阪市に本社、東京支店あり、設立1995年、日本厨房工業会正会員)のグリスフィルターレンタルサービスです。うちの店舗の運用は以下の通りです。
- ダクト1台につきフィルターが2枚
- 1枚交換あたり2,000円
- 月額にすると4,000円(2枚分)
コストは「少し足が出る程度」で決して割高ではない
これをスタッフ2人で洗浄する場合の人件費と比べると、「少し足が出る程度」というのが私の感覚です。つまり、ほぼ同水準かやや高いくらいで、劇的にコストが増えるわけではありません。人件費の計算方法によっては差はもう少し縮まるかもしれませんが、少なくとも「割高で導入する意味がない」というレベルではありませんでした。
金銭以外のメリット:スタッフの働きやすさ
金額だけで見れば「同水準かやや高い程度」ですが、私がこのサービスを評価しているのはむしろ金銭以外の部分です。大変な清掃作業をスタッフにさせずに済むことで、現場の働きやすさ・働きがいの面でも明らかにプラスになっています。人手不足が慢性化している飲食業では、「この店で働き続けたいか」を左右する小さな積み重ねの一つが、こうした地味な負担の有無だと感じています。
業務用エアコン清掃:専門業者に任せる理由は「過去の失敗」
グリスフィルターと合わせて、業務用エアコンの清掃も年1回ペースで導入を進めています。ドレンポンプ・ドレンパンの清掃を含めて、1回あたり約3万円という水準です(店舗単位なのか台数単位なのかは、契約の詳細を確認しきれていないため未確認です)。この金額について、私の感覚としては「結構安い」と感じています。
専門業者に任せている理由は明確で、過去に別の業者にエアコン清掃を依頼した際、エアコン本体を破損させられたトラブルを経験しているからです。この経験から、多少コストがかかっても専門業者に任せるのが最も安全だと判断しています。自分たちでも清掃自体は不可能ではありませんが、大変な作業をスタッフにやらせることは、グリスフィルターと同様に働きがいの面で嫌がられやすいという課題があります。
「業者から聞いた話」は鵜呑みにせず、裏取りした上で紹介します
ここからは少し慎重に書きます。私自身が業者から直接聞いた話の中に、裏付けが取れていない情報が2つあったため、リサーチ部に競合7社(ダスキン、サニクリーン、株式会社ウォーク、セコムアルファ、エース工機、クリアックス、エスケーユニフォーム)を対象に公開情報での裏取り調査を依頼しました。結果を正直にお伝えします。
「セットにしても価格が変わらない」という話
他の大手業者では、グリスフィルターサービスをユニフォームクリーニング等とセットにしても価格があまり変わらない、という話を業者から聞いたことがあります。これを踏まえて、ユニフォームまでは不要な小規模店(スタッフに自分でユニフォームを洗ってきてもらう運用の店)にとっては、フィルターだけをピンポイントで契約できるサービスの方がコスト面で有利ではないか、という見立てを持っていました。
リサーチの結果、ユニフォーム専業会社やおしぼり会社が清掃系サービスを付帯提供し、複数サービスの請求を一本化している実例自体は確認できました。しかし、「セットにしても単体契約とほぼ同じ価格になる」という価格差そのものを裏付ける公開情報は見つかりませんでした。料金自体が非公開・見積り制の業者がほとんどのため、単体価格とセット価格を比較できる資料が公開されていないのが実情です。したがって、この点は「業者から聞いた話」として紹介するにとどめ、断定はしません。契約を検討する際は、セットとフィルター単体の見積りを両方取って比較することをおすすめします。
「通常品の倍の吸い込み量がある特殊フィルター」という話
ダイフィルのフィルター自体について、「通常のフィルターの倍の吸い込み量がある特殊フィルター」という説明を業者から受けています。これについては、ダイフィル公式サイト(運営ポータルのグリスフィルターLP)に「通気性約2〜3倍」「除去率約90%」という記載があり、業者から受けた説明とおおむね一致することが確認できました。日本厨房工業会の認定機器一覧にも、該当のフィルター(DFフィルター・DVSフィルター)がダイフィル製として登録されています。
ただし、これはダイフィル自身の宣伝表現であり、第三者機関による独立した比較検証データではありません。実際、競合のダスキン(油除去率約90%)、セコムアルファ(油除去率91.3%、自社測定値)、株式会社ウォーク(高性能フィルターで約90%)も、除去率に関してはダイフィルと近い水準の数値を公開しています。「通気性2〜3倍」という吸い込み量の比較については、他社との横並び検証データは見つかりませんでした。なお、おしぼり会社のクリアックスがダイフィルとほぼ同一の製品名・数値を掲載していたことから、ダイフィル製フィルターが他社経由でも流通している可能性があることも分かりましたが、これはあくまで推測の域を出ません。
つまり、「ダイフィルだけの独自技術で他社の倍」と断定するのではなく、「ダイフィル公式発表による通気性2〜3倍という数値であり、独立検証ではない」という前提で受け止めるのが正確だと考えています。
競合7社との比較表
料金が公開されている業者は多くありません。非公開の会社は正直に「非公開」と記載しています。また、この表には各社の代理店条件や営業上のマネタイズ情報は一切含めていません。あくまで読者(飲食店オーナー)がサービスを選ぶ際に必要な情報だけを整理しています。
| 業者 | 料金(分かる範囲) | 対象規模・向いている店舗タイプ | 単体契約のしやすさ |
|---|---|---|---|
| ダイフィル | グリスフィルター:月4,000円(ダクト1台・フィルター2枚交換、当店の実例)。エアコン清掃:年1回・約3万円(店舗単位か台数単位かは未確認) | 小規模〜個人店中心。グリスフィルターレンタルが主力事業の専業業者 | しやすい。フィルター単体・エアコン単体とも契約可能で、当店の実績自体が単体契約の一例 |
| ダスキン | グリスフィルターH:1枚3,927〜4,279円/4週。L3:1枚2,541〜2,893円/4週(公式サイト明記)。エアコン天井埋込1台目40,700円〜 | 事業所向け総合清掃・生活支援サービス全般 | 個別メニューとして料金体系が明示されており、単体契約は可能と見られる(ユニフォームとの抱き合わせ表記は確認できず) |
| サニクリーン | 非公開・要見積り | 換気扇・グリスフィルター・排気ダクト・エアコンまで幅広く対応する総合衛生管理業者。ユニフォームレンタル事業も別途保有 | 公式サイト上はグリスフィルターとユニフォームが別事業として案内されている。単体契約自体は可能と推定されるが、営業時に他サービスを提案される可能性は否定できない(未確認) |
| 株式会社ウォーク | 非公開・要見積り(月額レンタル制、初期費用不要との記載あり) | グリスフィルターレンタル専業寄り | しやすい。グリスフィルター単体のサービスとして案内されている |
| セコムアルファ | 非公開・要見積り | グリスフィルターレンタル専業(アルファフィルターII) | しやすい。単体サービスページが独立して存在する |
| エース工機 | 非公開・要見積り | グリスフィルター・ダクト・エアコン清掃を一括で手がける厨房設備清掃専業寄り | しやすい。単体サービスページは独立しているが、自社の複数メニューをまとめて提案される場合もあり得る |
| クリアックス | 非公開・要見積り | おしぼり・マット・モップレンタル等を主軸とする多角経営型。グリスフィルターは付帯メニュー | セット提案が営業の基本線になりやすいと推察される。契約前に「フィルターのみの契約が可能か」を確認したほうがよい |
| エスケーユニフォーム | 非公開 | ユニフォームレンタル専業+清掃サービス付帯 | 複数サービスの請求一本化を強みとしており、セット提案が基本線になりやすいと推察される |
表の見方の注意点:非公開の業者がほとんどで、実際には個別の見積り合わせが必須です。また「単体契約のしやすさ」は各社の公開情報・事業構成から合理的に推測したものであり、実際の営業現場での契約自由度を明言した一次情報ではありません。専業寄りの業者(ダイフィル、ダスキン、株式会社ウォーク、セコムアルファ、エース工機)は単体契約がしやすい可能性が高く、おしぼり・ユニフォームが主力で清掃サービスを付帯提供する業者(クリアックス、エスケーユニフォーム)はセット提案が基本線になりやすい、という傾向として捉えてください。
まとめ:小規模店にとってのポイント
私の実体験から言えることは、次の3点です。
- グリスフィルターレンタルは、スタッフによる手洗いの人件費と比べて「劇的に安い」わけではなく、「少し足が出る程度」というのが正直な感覚です。それでも導入する価値があると感じるのは、金銭面以上に、スタッフに大変な清掃作業をさせずに済むという働きやすさの効果が大きいからです。
- 業務用エアコン清掃は、過去のトラブル経験から専門業者に任せることを選んでいます。年1回・約3万円という水準は、自分の感覚では「結構安い」と感じています。
- 「セットでも価格が変わらない」「通常品の倍の吸い込み量」といった業者からの伝聞情報は、鵜呑みにせず裏取りをした上で紹介しました。裏付けが取れなかった部分は、断定せずそのまま「未確認」として書いています。
ユニフォームやおしぼりまではまだ必要ない、フィルターの清掃だけをピンポイントで契約したいという小規模店にとっては、専業業者に絞って比較検討する価値があると考えています。まずは自店の規模・ダクトの状況を踏まえて、複数社から見積りを取ってみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. グリスフィルターレンタルは、自分たちで掃除するのと比べて本当に得なのですか?
A1. 当店の実例では月4,000円(ダクト1台・フィルター2枚交換分)で、スタッフ2人で洗浄する場合の人件費と比べても「少し足が出る程度」であり、決して割高ではないと感じています。加えて、大変な清掃作業をスタッフにさせずに済む分、働きやすさの面でもプラスと評価しています。ただしこれは1店舗の実例であり、店舗規模やダクトの汚れ具合によって条件は変わるため、必ず自店で見積りを取って確認してください。
Q2. 業務用エアコン清掃は自分たちでやってはいけませんか?
A2. 自分たちでもできないことはありませんが、専門業者に任せる方が安全だと考えています。過去に別の業者にエアコン清掃を依頼した際、エアコン本体を破損させられたトラブルがあり、この経験から専門業者に任せるのが最も安全だと判断しています。また、大変な作業をスタッフにやらせることへの抵抗感も、グリスフィルターと共通する課題です。
Q3. 「セットにしても価格が変わらない」「通常品の倍の吸い込み量」という話は本当ですか?
A3. いずれも業者から直接聞いた伝聞情報であり、断定できる裏付けは取れていません。セット販売については、ユニフォーム専業会社やおしぼり会社が清掃系サービスを付帯提供している実例は確認できましたが、単体契約時との価格差を示す公開情報は見つかっていません。フィルターの吸い込み量についても、ダイフィル公式サイトに「通気性約2〜3倍・除去率約90%」という記載があり業者の説明と一致していますが、これはダイフィル自身の宣伝表現であり、第三者機関による独立検証データではない点に注意が必要です。
Q4. 小規模な個人店でも単体契約できますか?
A4. グリスフィルターレンタルはダイフィルの主力事業そのものであり、単体契約が前提の業態と考えられます。当店の実績(月4,000円で2枚交換)も単体契約の一例です。ユニフォームやおしぼりなど他サービスとのセット提案が基本線になりやすい多角経営型の業者と比べると、フィルターだけをピンポイントで契約したい小規模店には向いている可能性がある、というのが私の見立てです(あくまで仮説であり、断定はできません)。
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