毎月届く検針票を見て、電気代の高さにため息をついたことはありませんか。私たちWORLD BURGERも池袋2店舗・新潟・浜松と、エリアも店舗の規模もバラバラな4店舗を運営しています。エリアが違えば使える電力会社も違いますし、店舗ごとに契約しているプランも統一されていません。複数店舗を運営していると「うちの店の電気代、本当にこのままでいいのか」と気になっても、比較の仕方が分からず後回しにしてしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、飲食店オーナーが電力会社の切替・電気代見直しを検討するときに知っておくべき基礎知識と、実際に確認できた電力会社・比較サービスの情報を整理しました。結論を先に言うと、「どこが一番安いか」を断定できるほど各社の料金は公開されていません。だからこそ、正しい比較の進め方を知ることが遠回りに見えて一番の近道です。
※本記事の情報は2026年8月時点で公式サイト等から確認できた内容に基づいています。申込状況や料金プランは変更されることがあるため、実際の検討時は必ず各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
「切替=めんどう・リスクがありそう」というイメージ、実は誤解かもしれません
電力会社の切替と聞くと、「工事が必要なのでは」「途中でやめたら違約金を取られるのでは」というイメージを持つ方は少なくありません。ですが、調べてみると実態は少し違います。
- 切替そのものはオンライン申込で完結するのが一般的で、停電やコンセント・配線の変更は原則発生しません(スマートメーターが未設置の場合のみ設置工事が入ることがありますが、これは切替先に関わらず起こりうる話です)。
- 大手電力会社(東京電力エナジーパートナーなど)の従量電灯B等の標準プランは、解約金・違約金が原則不要です。つまり「今の契約のまま」なら切替による損はほぼ発生しません。
- 新電力各社も、最低契約期間(多くは1年)を満了していれば違約金がかからないケースが大半です。
もちろん例外はあります。大手電力会社の一部の特殊プラン(長期契約割引プランなど)には解約金が設定されている場合があるため、まずは自店が今どのプラン名で契約しているかを確認するのが最初の一歩です。「切替=リスク」と決めつけて検討自体をやめてしまうのは、実はもったいない可能性があります。
まず区別したい、「電力会社そのもの」と「比較・マッチングサービス」の違い
電気代の見直しを調べ始めると、性質の異なる2種類のサービスが同じように紹介されていて混乱しがちです。整理すると次のようになります。
- 電力会社そのもの(新電力・大手電力):実際に電気を供給する契約先です。Looopでんき、エルピオでんき、まちエネ、楽天でんき、そして今契約中の東京電力・関西電力なども含まれます。切替先として最終的に契約するのはここです。
- 比較・マッチングサービス:複数の電力会社の中から自店に合いそうな先を比較し、見積り取得や切替手続きをサポートしてくれるサービスです。エネチェンジBizや新電力ネットなどが該当します。サービス自体が電気を供給するわけではありません。
店舗数が少なく候補も絞りやすい場合は電力会社に直接問い合わせても構いませんが、店舗数が多く契約形態もバラバラな場合は、比較サービスを使って一括で見積りを集めてから絞り込むほうが手間が少なくて済みます。この違いを理解した上で読み進めてもらえればと思います。
自店の契約タイプを確認する:低圧・高圧・動力の違い
電力会社を比較する前に、自店がどの契約区分に当てはまるかを確認しておきましょう。検針票や契約書に記載があります。
- 従量電灯B/C:厨房機器・空調中心の小〜中規模店舗で一般的な低圧契約です。
- 低圧電力(動力):大型厨房機器など動力(三相)を使う店舗向け。基本料金は契約kW数×単価で決まります。
- 高圧電力:契約電力50kW以上。複数店舗が入る大型施設やビル一棟をまるごと借りているようなケースが対象です。
同じ「電気代を見直したい」でも、この契約区分によって声をかけるべき電力会社・比較サービスが変わってきます。次の比較表と合わせて確認してください。
飲食店向け 電力会社・比較サービス比較表(2026年8月時点)
調査で公式サイト等から確認できた範囲での比較です。料金の具体的な単価や割引率は多くの会社で非公開・個別見積りとなっており、本表だけで「どこが一番安いか」を判断することはできません。あくまで検討先を絞り込むための整理表としてご活用ください。
| サービス名 | 種別 | 対応エリア | 対象規模の目安 | 料金体系 | 解約金 | 現在の申込状況(2026年8月時点) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| まちエネ | 電力会社(新電力) | 東京電力・中部電力・東北電力・四国電力エリア | 契約電力50kW未満の法人〜高圧法人まで案内あり | 個別見積り(非公開) | 未確認 | 一部プランが新規受付終了(全体停止かは要最新確認) |
| Looopでんき | 電力会社(新電力) | 低圧〜高圧、全国主要エリア | 店舗〜オフィスビル・工場 | ビジネスプランは基本料金0円・使用量にかかわらず一律単価(具体的単価は公式サイトで要確認) | 未確認・要問い合わせ | 受付中(要最新確認) |
| エルピオでんき | 電力会社(新電力) | 東京電力エリア等(動力プランは東京電力エリアで確認) | 個人〜事業所(動力プランあり) | 契約容量×基本料金+季節別従量料金。ガスとのセット割あり | 未確認・要問い合わせ | 受付中(2023年5月に電気事業再開) |
| 楽天でんき/楽天でんきBusiness | 電力会社(新電力) | 東北・東京・中部・北陸・中国・四国エリア等 | 低圧(10施設未満の法人)〜高圧・特別高圧 | 非公開・個別見積り | 未確認 | 受付中(要最新確認) |
| エネチェンジBiz | 比較・マッチングサービス | 明示なし | 明示なし(オフィス・工場・医療施設等の実績あり) | サービス利用自体は無料。切替先の電気料金は個別見積り | ― | 受付中 |
| 新電力ネット | 比較・情報サイト | ― | ― | 381社・約5,200プランの比較データベース(情報提供のみ) | ― | 受付中 |
| 東京電力(従量電灯B等) | 電力会社(大手) | 東京電力エリア | 小規模店舗〜 | 規制料金・公開プランあり | 標準プランは原則なし | 受付中(切替不要=現状維持) |
| 関西電力(従量電灯A) | 電力会社(大手) | 関西電力エリア | 小規模店舗〜 | 3段階従量制 | 未確認 | 受付中(切替不要=現状維持) |
注意:「あしたでんき」は2022年6月末で電気供給サービスを終了しており、現在は新規申込ができません。過去の比較記事やまとめサイトで紹介されていることがありますが、古い情報のため本記事では紹介対象から除外しています。
各社の特徴(電力会社そのもの)
まちエネ(MCリテールエナジー/出資:三菱商事・ローソン等)
東京電力・中部電力・東北電力・四国電力の各エリアで契約できる新電力です。現行契約と過去12か月の使用量データを提出すると、通常5営業日以内に個別見積りが出ます。契約期間は1年(自動更新)、切替費用・初期費用は0円とされています。ただし2026年4月に「かんたんプラン」「低圧電力かんたんプラン」という特定プランの新規受付が終了したという情報があり、全プランが停止しているのか、一部プランのみなのかは本記事の調査時点では確認できていません。検討する場合は、必ず公式サイトで現在申込可能なプランを直接確認してください。
Looopでんき(株式会社Looop)
低圧の店舗・事業所から高圧のオフィスビル・工場まで対応する新電力です。法人向け「ビジネスプラン」は基本料金0円、電力量料金が使用量にかかわらず一律単価という単純従量制が特徴として複数のサイトで紹介されています。この体系は使用量が多い店舗ほど有利になりやすい一方、深夜営業など特殊な使用パターンの店舗では時間帯別プランのほうが有利な場合もあるため、必ず個別のシミュレーションで確認する必要があります。現行の具体的な単価や解約金の有無は本調査の範囲では確認できておらず、公式窓口への問い合わせが必要です(低圧窓口:0120-707-454、高圧・法人窓口:0120-606-861)。
エルピオでんき(株式会社エルピオ)
電気に加えてプロパンガス・都市ガス事業も展開している会社です。事業所向けには大型厨房機器など動力(三相)を使う店舗向けの「動力プラン」があり、東京電力エリアでは契約容量(15〜40kW単位)に応じた基本料金+季節別従量料金という体系です。ガスとのセット割(月額110〜220円引き)もあるため、電気だけでなくガス契約も一緒に見直したい店舗には検討の価値があります。解約金・違約金の明記は確認できておらず、個別の問い合わせが必要です。
楽天でんき/楽天でんきBusiness(楽天エナジー)
低圧向けの「楽天でんき」(法人は10施設未満向けにWeb申込可)と、高圧・特別高圧向けの「楽天でんきBusiness」の2系統があります。楽天でんきBusinessは一時新規受付を停止していた時期がありましたが、2023年4月から東北・東京・中部・北陸・中国・四国エリアの高圧・特別高圧顧客について再開したとの公式発表があります。2026年8月時点で継続しているかは変わっている可能性があるため、検討時は必ず最新の申込状況を確認してください。料金は非公開・個別見積りです。
比較・マッチングサービスという選択肢
店舗数が多く、契約形態(従量電灯・低圧電力・高圧)もバラバラで「そもそもどこから手をつければいいか分からない」という場合は、比較・マッチングサービスを使う方法もあります。
エネチェンジBiz
法人向けの電力比較・切替サポートサービスです。電力会社そのものではなく、複数の電力会社への一括見積りから切替手続きのサポートまでを無料で行ってくれる仲介サービスという位置づけです。公式サイトでは切替件数約4万件、平均削減率15.1%という実績が公開されていますが、これは同社の公表値であり、個々の店舗の削減額を保証するものではありません。業種や高圧・低圧の対象範囲についても明確な制限は記載されておらず、個別相談が前提になっています。
新電力ネット
381社・約5,200プランを掲載する比較データベースサイトです(2026年4月更新表記)。電力会社そのものではなく情報サイトのため、ここで料金プランを見比べた上で、気になる会社に個別に問い合わせる使い方になります。
店舗タイプ別、検討の進め方
ここまでの情報を踏まえ、店舗の状況別に検討の進め方を整理します。いずれも最終的な削減額は個別見積りでしか分からないため、あくまで「最初にどこへ声をかけるか」の目安としてご覧ください。
- 1〜3店舗、各店舗が低圧契約(従量電灯B・低圧電力)で、まずは自分で比較してみたい場合:Looopでんきのような基本料金0円・単純従量制のプランを候補に入れ、複数社に見積りを取って比較するのが分かりやすい進め方です。まちエネは現在新規停止中のため、再開を待つか他の候補と並行して検討してください。
- 店舗数が多く、契約形態がバラバラで比較検討自体が面倒な場合:エネチェンジBizのような比較・マッチングサービスを使い、複数社の見積りを一括で取得してから絞り込む方法が効率的です。サービスの利用自体は無料です。
- ガスも一緒に見直したい店舗:エルピオでんきは都市ガス・LPガスとのセット割があるため、ガス契約の見直しと同時に検討する価値があります。
- 1店舗あたりの契約電力が50kW以上の大型店舗・複合施設テナント:楽天でんきBusinessのような高圧向けプランを扱う新電力を、個別見積りで比較するのが基本線です。
- 「とりあえず今のまま」で良いケース:現在すでに大手電力会社の解約金なしの標準プラン(従量電灯B等)であれば、切替による「損」はほぼ発生しません。検討そのものにブレーキをかけているのは、多くの場合「手続きが面倒そう」という心理的なハードルであり、実際の申込手続きは各社ともオンラインで完結する点は安心材料として知っておいてよいと思います。
電気代の見直しと合わせて考えたい:厨房機器はガス式か電気式か
電気代を見直す際、もう一つ検討の価値があるのが、厨房機器そのものをガス式にするか電気式にするかという選択です。特に鉄板・グリドルのような機器は、どちらの方式を選ぶかで電気代・ガス代の構造そのものが変わってきます。
私自身の店舗では、鉄板グリドルは基本的に電気式を採用しています。理由はコストよりも安全面を優先したためです。火を使わない分、火災リスクを抑えられると考えて選びました。
この判断が業界的にどうなのかを調べたところ、「電気式は火を使わないため火災リスクが低い」という一般的な傾向は、複数の専門記事・機器販売サイトでも共通して述べられており、自店の判断と方向性が一致していることを確認できました。一方で、業務用グリドル特有の詳しいランニングコスト比較データ・事故統計までは今回確認できておらず、正直に「未確認」とお伝えします。一般的な傾向として言えるのは次の点です。
- 火力・立ち上がり:ガス式は立ち上がりが速く、強火力・高温調理に強いとされています。電気式は火力・加熱スピードでガス式に劣りやすい傾向があるとされています。
- 初期費用・設置:ガス式はガス配管工事が必要です。電気式は配管工事が不要な分、設置の自由度が高く設備投資を抑えやすいとされますが、厨房全体の電気容量(契約アンペア・kW)を圧迫する可能性がある点は考慮が必要です。
- 安全性:ガス式はガス漏れ・火気のリスクがあり定期メンテナンスが必須です。電気式は火を使わないため火災リスクが低いとされています。
ランニングコストについては、業務用機器に特化した比較データが十分に見つからなかったため、この記事で「電気式とガス式、どちらが経済的に安いか」を断定することは避けます。機器の導入を検討する際は、候補機種の消費電力(電気式)またはガス消費量(ガス式)をメーカーのカタログで確認し、自店の稼働時間パターンをもとに個別に試算することをおすすめします。安全性を優先するか、火力・コストを優先するかは店舗の業態・調理内容によって変わるため、「絶対にこちら」という単純な答えはない、というのが正直なところです。
今日からできる3ステップ
どのサービスが「一番安いか」は、事業者側の多くが具体的な単価を公開していない(多くが「要問い合わせ」「個別見積り」)ため、この記事だけでは断定できません。ですが、次の3ステップを踏めば、自店にとっての最適解に近づくことができます。
- 検針票を用意する:直近1年分の電気使用量データ(検針票、または電力会社のマイページ)を店舗ごとに揃えます。
- 自店の契約区分を確認する:従量電灯B/C、低圧電力(動力)、高圧のどれに当たるかを確認します。この記事の比較表で候補を絞り込みます。
- 複数社(またはマッチングサービス)に一括見積りを依頼する:候補を1社に絞らず、電力会社数社、または比較サービスに同時に見積りを依頼して、実際の削減額・条件を並べて比べます。
複数店舗を運営していると、この作業を店舗ごとに繰り返すのは正直なところ手間がかかります。だからこそ「面倒だから後回し」にしてしまいがちですが、検針票を用意する作業自体は数分で終わります。まずはそこから始めてみてください。
よくある質問
Q1. 電力会社を切り替えると解約金がかかりますか?
A. 大手電力会社の従量電灯B等の標準プランは、解約金・違約金が原則不要です。新電力各社も、最低契約期間(多くは1年)を満了していれば違約金がかからないケースが大半です。ただし一部の特殊プランには解約金が設定されている場合があるため、まずは自店の現在の契約プラン名を確認し、不明な場合は契約先に問い合わせることをおすすめします。
Q2. 切替時に工事や停電は必要ですか?
A. 原則として工事や停電は発生しません。切替はオンライン申込で完結するのが一般的です。ただしスマートメーターが未設置の場合のみ設置工事が入ることがありますが、これは切替先に関わらず起こりうる一般的な話です。
Q3. 結局、一番安い電力会社はどこですか?
A. 現時点の公開情報だけでは断定できません。多くの電力会社が具体的な単価や割引率を「個別見積り」としており、店舗の契約種別(低圧・低圧電力・高圧)や使用量パターンによって最適な会社は変わります。自店の検針票を用意した上で、複数社から見積りを取って比較することをおすすめします。
Q4. 複数店舗を運営していますが、まとめて切り替えられますか?
A. 電力契約は原則として店舗(メーター)単位のため、店舗ごとに切替手続きが必要です。ただし比較・マッチングサービスを使うと、複数店舗分の見積り取得や手続きの手間をまとめて減らせる場合があります。
Q5. エネチェンジBizのような比較サービスと、Looopでんきのような電力会社は何が違いますか?
A. エネチェンジBizなどの比較・マッチングサービスは、電力会社そのものではなく、複数の電力会社を比較し見積り取得や切替手続きをサポートしてくれるサービスです。実際に電気を供給する契約先はLooopでんきやエルピオでんきなどの電力会社になります。店舗数が少なく候補を絞りやすい場合は電力会社に直接、店舗数が多く比較が面倒な場合は比較サービスを使うと効率的です。
Q6. まちエネは今から申し込めますか?
A. 2026年4月に一部プラン(「かんたんプラン」「低圧電力かんたんプラン」)の新規受付が終了したという情報がありますが、全プランが停止しているのか一部プランのみなのかは確認できていません。申込を検討する場合は、公式サイトで最新の受付状況を直接確認してください。
まとめ
電力会社の切替は、多くのケースで「工事不要・違約金なし」で進められる、思っているよりハードルの低い選択肢です。一方で、「どこが一番安いか」を誰かが代わりに断定してくれるものでもありません。契約している電力の種別(従量電灯・低圧電力・高圧)や店舗ごとの使用量パターンによって最適解は変わるため、最終的には自店の数字で確認するしかないというのが実情です。
まずは店舗ごとの検針票を手元に用意することから始めてみてください。そこから複数社に見積りを依頼して並べてみるだけで、「うちの店は今のままでいいのか、変えたほうがいいのか」がはっきり見えてきます。忙しい毎日の中で後回しにしがちなテーマだからこそ、小さな一歩から動いてみる価値はあると思います。
複数店舗オーナーが実践する経営ノウハウ
この記事以外にも、実際に飲食店を経営する上で役立つ実践知を発信しています。

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